当社が校正を行う意義と価値
校正(キャリブレーション)は、基準となる標準器と比較しながら対象となる計量器に適切な値を付けていく作業です。
当社では主に航空機の燃料や潤滑油を測定するタービン流量計を校正していますが、航空機に使用する流量計には極めて厳密な精度が求められます。流量計の値付けが間違ってしまうと、燃料切れを把握できずに大事故を招く——といった危険もあるからです。
当社は、航空機用流量計の取り扱い企業として歴史と実績と世界的信頼を有するCOX社(アメリカ)の国内唯一の認定事業者です。そのため、COX社から技術者を招いてトレーニングを受けたり、そこから技術的なノウハウを学んだり、製品に関する情報をCOX社と共有したりできる環境があります。トレーサビリティを確保した厳密な校正で、COX社をはじめとする大手メーカーの高品質な流量計に「信頼性」を付加することが主な仕事です。
校正において求められる技術力
液体の温度調整の精度
校正において「技」が求められるポイントの一つが、液体の温度調整の精度です。液体は温度によって密度や動粘度が変わるため、温度によって流量計の出力(測定値)が変わってしまう可能性があります。値付けを誤らないようにするには、実際に測定する環境に合わせて温度を厳格にコントロールしなければならず、ここに技術力の差が表れます。
マスターメータの校正
当社では、お客様の社内標準となるマスターメータとしての使用を目的とした流量計の校正をご依頼いただくこともあります。通常の流量計は1種類の動粘度を持つ液体を用いて校正しますが、より精密さが求められるマスターメータでは、さまざまな動粘度を持つ複数種類の液体をブレンドしたり入れ替えたりしながら値付けをしていきます。
デュアルロータ流量計の校正
一般的なシングルロータのタービン流量計(羽根車が1つ)だけでなく、当社ではCOX社が独自開発したデュアルロータ流量計(羽根車が2つ)の校正も行っています。「信頼性が高い」「測定範囲が広い」「設置スペースを狭くできる」といったメリットを持つデュアルロータ流量計においては、単体ではなくフローコンピュータとセットで校正するケースが多くあります。2つの羽根車の出力を同時に見ることに加え、フローコンピュータに付加された様々な機能を操る、より高度な技術が必要です。
使用する校正装置と人的作業
当社では、FLOW DYNAMICS社製のピストンプルーバ(ピストンで液体を送り出し、押し出す時間とその体積から決められた流量を求める校正装置)を用いて適切な値付けを行っています。FLOW DYNAMICS社製のピストンプルーバは、アメリカの国家標準(NIST)にも用いられている信頼性の高い校正装置です。FLOW DYNAMICS社はCOX社の関連会社であり、同社製校正装置は技術力と実績に裏打ちされ高い精度を求めやすいのが特徴で、当社は小流量用と大流量用の2台を所有しています。
人的な作業は対象となる流量計を校正装置に取り付けるだけと思われるかもしれませんが、流量計の調査から、校正装置や流す液体の準備(それにまつわる取り扱い)、データの集計、レポートの作成まで、スタッフが専門性を発揮する場面はたくさんあります。装置の精密な測定と人間の適切な判断や細やかな調整が組み合わさることで、お客様の要求仕様に応じた「間違いのない校正」が実現できます。